現在妊娠されている方もこれから考えている方も気になるのが赤ちゃんの出産準備の費用。特に初めての出産の場合、何にいくらかかるか想像つかないことも多いかと思います。
この記事では、出産時に必要となる費用や出産費用の負担を軽減してくれる制度や給付金、節約の方法について詳しく解説します。
これから出産を控えている方はぜひ参考にして下さい。
1.出産準備はどんなことにいくらお金がかかる?
妊娠、出産にあたり必要な費用は大きく分けて
・分娩費用と入院費用
・妊娠中の健診費用
・マタニティー用品
・ママの入院準備用品
・ベビー用品にかかる費用
の5つです。妊娠や出産は病気やケガではないため、健診費用や分娩費用、出産費用は健康保険が適用されず、全額自己負担となります。
また、マタニティー用品やベビー用品は、どんなものを選ぶかによって金額が大きく異なってきます。
かかる費用 | 自己負担金 | |
---|---|---|
分娩費用と入院費用 | 50〜55万円 | 5〜10万円 |
妊婦健診の費用 | (1回につき) 3,000〜7,000円 |
30,000〜70,000円 |
マタニティ用品の費用 | 2〜5万円 | 2〜5万円 |
ママの入院準備品費用 | 1〜2万円 | 1〜2万円 |
ベビー用品費用 | 20〜30万円 | 20〜30万円 |
分娩費用と入院費用
■基本の分娩費用
出産時費用はおよそ50〜55万円。その中には「新生児管理保育料」「検査・薬剤料」「処置・手当料」を含みます。
ただし、これは普通分娩の平均的な金額で、実際の費用は分娩方法や病院によって異なります。帝王切開や無痛分娩の場合、普通分娩プラス10〜20万円ほどかかります。そのほかにも手厚いサポートの病院を選んだ場合や、深夜や休日など病院の時間外の分娩はプラスで費用がかかります。
このように高額になる分娩・入院費用ですが、その出産費用をカバーしてくれるのが「出産育児一時金」という給付金です。受給額は子ども1人につき42万円。(産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は40.4万円)健康保険に加入していれば受給資格が得られます。双子や三つ子などの場合も人数分が支給されることになっています。
そのため、実際の自己負担額は分娩・入院費用から出産育児一時金を差し引いた金額の5〜10万円が目安です。
出産施設での費用の違い
出産する施設 | かかる費用 |
---|---|
公的総合病院 | 約50万円 |
私的総合病院 | 約55万円 |
診療所・助産院 | 約51万円 |
産科・婦人科専門のクリニック | 約55万円 |
分娩ができる施設は大きく分けて、産婦人科がある総合病院(公的病院、私的病院)、産科・婦人科専門のクリニック、診療所・助産院の3種類。
定期的な妊婦健診は自宅や職場から通いやすい施設で、分娩は里帰り出産で実家近くの施設にする方も少なくありません。
出産費用はそれぞれの施設で異なります。公的病院の総合病院が最も低く、およそ50万円。次に診療所・助産院で51万円です。そして、私的病院の総合病院や産科・婦人科専門のクリニックが最も高く、およそ55万円です。
金額の違いは常駐医師やスタッフの数、設備、サービスなどによるものです。
希望の分娩方法や出産プランとそれにかかる費用をチェックしておくことが重要です。
妊婦健診の費用
妊娠がわかってから出産するまでの間、無事に出産できるよう母子の健康状態を確認するために、定期的に妊婦健診を受ける必要があります。妊婦健診の費用は健康保険が適用されず、全額自己負担となります。
妊婦健診は、妊娠満23週までは4週間に1回、妊娠満24週から35週までは2週間に1回、妊娠満36週から分娩までは1週間に1回、計14回程度受けることを定められています。
一般的に基本健診の場合、3,000円〜7,000円、特別な検査がある場合には1〜2万円ほどの費用がかかります。この妊婦健診は各自治体で費用の助成を行っており、それを利用することで、負担を軽減することができます。
妊婦健診の助成を受け取るには、赤ちゃんの心音確認ができたタイミングで役所に「妊娠届」を提出します。これにより母子手帳と一緒に「妊婦健康診査受診票」が交付されます。妊婦健康診査受診票はおよそ14枚。これを1回の受診につき1枚、医療機関の窓口に提出すれば、受診票にある検査項目については無料で健診を受けられるようになります。
受診票にない検査項目や、受診票以上の回数の検診を受ける場合は自己負担となります。そのため、妊婦健診費用の自己負担額は3〜7万円が目安です。
マタニティー用品、ベビー用品にかかる費用
妊娠、出産に伴い、医療費以外にも出費が増えてきます。新たに揃えるものとして、大きく分けてママに必要なものと赤ちゃんのお世話に必要なものの2つ。
ママに必要なものはマタニティー用品の服や下着などがメインです。なお、入院準備品や入院中の赤ちゃんのケアアイテムは病院での出産プランに含まれている場合もあります。入院前に出産をする病院や産院に確認しましょう。
アイテム | ポイント |
---|---|
母子手帳ケース | 自治体で発行される母子手帳に合うサイズを準備。 |
妊娠線予防クリームなどケアアイテム | オイルやクリームでお腹を保湿し、妊娠線をケアします。 |
マタニティウエア | 体型の変化にあったものを。トップスボトムともにあると便利。 |
マタニティパジャマ | 産後も使えるよう、前開きのものや授乳口付きのものがおすすめ。 |
マタニティショーツ | すっぽりとおなかを包めるものがおすすめ。 |
抱き枕 | 妊娠中は寝苦しさのサポート、産後は授乳クッションとしても使えます。 |
サプリメント | 不足しがちな栄養素やベビーが健やかに成長するために必要な栄養素を。 |
■ママの入院準備品
アイテム | ポイント |
---|---|
パジャマ | 授乳や診察時に前開きのものが便利です。 |
産褥ショーツ・産褥パッド | 産後の悪露で汚れることを考えて多めに用意。 |
母乳パッド | 布製・紙製があります。自分にあったものを。 |
授乳用ブラジャー | サッと胸が出せる機能がついているものが便利。 |
洗浄綿 | 産後の悪露を拭き取るために使います。 |
赤ちゃんのお世話に必要なもの
生まれてくる赤ちゃんを迎えるためにベビー服やベビーベッド、ベビーバスやチャイルドシートなども用意します。用意するものの種類が多いため、早めの準備がおすすめです。購入するものによりますが、およそ20〜30万円程度が目安です。
■ベビー用品アイテム | ポイント |
---|---|
ベビーウエア | 短肌着やコンビ肌着、2wayオールなどを用意。 |
ベビーのセレモニードレス | 退院時に素敵なドレスを用意してあげましょう |
ベビー寝具 | ベビーベッドやベビー布団など、赤ちゃんのねんねアイテムを揃えましょう。 |
おむつ・おしり拭き | おしっこやうんちをする度に取り替えて、赤ちゃんの肌を清潔に保ちましょう。 |
哺乳瓶・消毒グッズなど授乳グッズ | ボトルや哺乳瓶乳首などは赤ちゃんに合ったものを。 |
バスグッズ | ベビーバスや沐浴ガーゼ、湯温計などを用意しましょう。 |
ベビーカー | 交通手段やライフスタイルを考えて使いやすいものを選びましょう。 |
抱っこ紐 | コンパクトになるものやおんぶもできるものなど様々あります。 |
チャイルドシート | 退院時に車で帰宅される方は必ず用意しましょう。 |
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2.双子の場合にかかる費用
出産するとき、加入先の健康保険から出産育児一時金を受け取れます。
出産育児一時金は子ども一人につき原則42万円なので、双子を出産した場合、84万円を受け取ることができます。
3.お祝いのお返しにかかる費用
いただいた方 | 内祝いの相場 |
---|---|
両親 | 10,000~30,000円 |
祖父母・親戚 上司・目上の方 |
5,000~10,000円 |
友達 | 3,000円台 |
職場の同僚グループ | 1,000~2,000円 |
産内祝いの一般的な相場は、2分の1~3分の1程度。いただいた相手によって、内祝いの金額を変えても良いとされています。両親から高額なお祝いをもらった場合は、一般的な相場より低くてもマナー違反にはなりません。ご夫婦で話し合い予算の範囲内で内祝いを贈りましょう。
一般的に「両親」への内祝いの相場は「10,000~30,000円」、「祖父母・親戚」「上司・目上の方」への内祝いの相場は「5,000~10,000円」となっています。友達へは「3,000円台」が最も多く、「職場の同僚グループ」へは「1,000~2,000円程度」という方が多いようです。
内祝いでかかる費用は全部で5〜10万円が目安となってきます。
4.出産準備費用を節約するためには
まとまったお金が出ていく妊娠、出産。これから始まる子育てを考えれば費用を抑える工夫も必要です。そこで、費用を抑える3つのポイントをご紹介します。
最初にすべて揃えようとしない
準備万端で赤ちゃんを迎えても、いざ子育てするとなると実際には使わないものや、サイズアウトして無駄になってしまうケースも。ネットショップや最寄りのドラッグストアで簡単に購入できるアイテムは最低限の準備のみで、足りなくなりそうになってから買い足しても遅くはありません。
また、抱っこ紐やベビーカーは実際にお出かけするようになってから、子どもに合わせて購入するという人も多いようです。使いやすく、納得のいくものを選ぶようにしましょう。
友人や親戚、家族のお下がりを活用
友人や親戚で小さな子どもがいる場合、お下がりをお願いするという方法もあります。処分に困っていて、喜ばれるパターンも。ただし、譲ってもらったときにはお礼を忘れずに。
レンタルサービスを使用する
ベビーベッドやチャイルドシート、ベビーカーなど使用期間が限られて、金額が高く場所を取るものは買わずにレンタルを利用するのも一つの方法です。レンタルならば使わなくなったら返却できる手軽さが魅力です。
ただ、将来的に2人以上こどもが欲しいという方は、次の子でも使えるように購入した方が安くつくこともあります。
購入とレンタル、どちらがご自身のライフプランに合っているか、比較することをおすすめします。
5.妊娠や出産で利用できる制度や給付金
妊娠・出産は何かとお金がかかりますが、その費用を軽減する制度がいくつもあります。自分に当てはまる制度をチェックし、使える制度で費用を抑えましょう。
自治体によっては独自の子育てサポート制度を設けているところもあります。制度は変わることもありますので、こまめにお住まいの自治体制度をチェックすることがおすすめします。
妊婦健診等の助成
前述の通り、妊娠がわかったら役所に妊娠届を提出します。それに伴い、母子手帳と一緒に妊婦健康診査受診票が交付されます。
妊婦健康診査受診票は14枚程度で、これを1回の受診につき1枚、医療機関の窓口に提出すれば費用が補填され、無料で健診を受けられるようになります。
受診回数は自治体によって異なる場合があり、超音波検査や子宮頸がん健診などが助成される場合があります。
出産育児一時金
受け取り条件 | もらえる金額 |
---|---|
・国民健康保険、健康保険に加入している方 ・妊娠85日以上(妊娠4カ月以上)で出産している方 |
一律42万円 (産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.4万円) |
保険適応外となり、高額になる分娩・入院費用ですが、その負担を軽減するために「出産育児一時金」という給付金制度を国が用意しており、子ども1人につき42万円を受け取れます。(産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は40万4000円)。
双子や三つ子などの場合も人数分が支給されることになっています。
出産育児一時金は基本的に出産後の支給ですが、病院の窓口で多額の費用を立て替える必要があるため、一般的に「直接支払制度」または「受取代理制度」を利用します。「直接支払制度」とは、出産育児一時金の金額を上限として医療機関などが健康保険組合に直接出産費用を請求する制度です。この制度を利用すれば、退院時に病院で支払うのは出産費から出産育児一時金を差し引いた額だけです。
小規模な病院で直接支払制度を利用できない場合は「受取代理制度」を利用することで直接支払制度と同様に窓口での負担を軽減できます。
出産手当金
受け取り条件 | もらえる金額 |
---|---|
・被保険者期間が1年以上の場合 | 月給日額の3分の2相当額 支給期間:出産日以前42日(6週間)~出産日後56日(8週間) |
・被保険者期間が1年未満の場合 | ①支給開始日以前の直近の継続した各月の平均標準報酬月額に相当する額 ②加入している健康保険の平均標準報酬日額に相当する額 |
出産手当金とは、出産のために会社を休み、給与の支払いが受けられない場合に健康保険から受け取ることのできるお金です。支給対象となるのは、出産日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日までの範囲に会社を休んだ健康保険加入者です。
健康保険に加入している会社員が対象で、自営業や個人事業主、フリーランスの方は対象外です。
金額は、被保険者期間が1年以上か、1年未満かで変わります。
・被保険者期間が1年以上の場合(日額)
被保険者が給付を受ける月以前1年間の各月の平均標準報酬日額の3分の2に相当する金
・被保険者期間が1年未満の場合(日額)
下記①②のいずれか少ない額の3分の2に相当する額
①支給開始日以前の直近の継続した各月の平均標準報酬月額に相当する額
②加入している健康保険の平均標準報酬日額に相当する額
乳幼児医療費助成制度
乳幼児医療費助成制度とは、各地方公共団体が乳幼児の入院や通院にかかる自己負担金を助成する制度です。自治体によって負担金額は異なり、全額もしくは一部が助成されます。
助成を受けるには、市区町村に申請し、医療証の交付を受ける必要があります。
児童手当制度
子どもの年齢 | もらえる金額 |
---|---|
3歳未満 | 1万5,000円 |
3歳以上 | 1万円(第三子以降は1万5,000円) |
中学生 | 1万円 |
児童手当制度は、中学校卒業までの子どもを養育している世帯に支給される手当です。受け取るには住んでいる自治体への申請が必要なので、子どもが生まれたり引越しで住む地域が変わったりしたときは、現住所の市区町村に「認定請求書」を提出して申請しましょう。認定を受ければ、申請月の翌月分の手当から受け取ることができるようになります。
子どもの年齢や人数により手当の金額は変わり、養育者の収入が規定の所得制限限度額を超える場合は、特例給付(児童1人当たり月額一律5,000円)の支給となります。
基本、毎年6月、10月、2月に前月分までの手当が支給されます。
7.まとめ
今回は妊娠、出産にまつわる費用について詳しく解説しました。妊娠、出産は何かとお金がかかりますが、その負担を軽減する制度もさまざまあります。まずは、自分がかかる病院や産院で、どれくらい費用がかかるかを確認しつつ、使える制度を使っていきましょう。